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菖蒲冠(あやめこうふり)2023

ご来場いただきありがとうございました。
またお会いできるのを楽しみにしております。

6/3土(屋内開催)6/4日(生田緑地 菖蒲園)2日間公演いたしました。
たくさんのご協力に心より御礼申し上げます。

※【重要】ハイパー能「菖蒲冠(あやめこうふり)2023」公演日の追加と変更のお知らせ(PDF)
6/3土曜。生田緑地菖蒲園にてハイパー能「菖蒲冠(あやめこうふり)」公演予定。詳細は作品サイトへ。https://www.sakurai-makiko.com/ayame2023
6/3土曜。生田緑地菖蒲園にてハイパー能「菖蒲冠(あやめこうふり)」公演予定。詳細は作品サイトへ。https://www.sakurai-makiko.com/ayame2023

 

●ご挨拶

斎宮(さいぐう)という制度が、12世紀の平安末まで、さらに途絶えながらも13世紀までありました。「斎宮」という場所に、神に仕えるためにという理由で、未婚の天皇の姉妹、皇女である内親王たちが、誰にも接触することなく神聖隔離される時代が、史実によっても、少なくとも680年は続きました。

 人間には、どこへ行ってもいい自由、誰と結婚してもいい自由、自分を表現する自由が保障されている、という基本的人権の認識は、日本ではまだ100年にも満たないのです。

 私たちは、基本的人権に関して未熟であり、まだまだ認識の過程にいるにしか過ぎません。さらに人々の理解への努力がなければ、あっと言う間に日本の人権の歴史は逆戻りします。

 私たちは、人種について考え人権を尊重することすら、未だおぼつきません。

 性(自分は女性か男性か)の自認の自由も2000年、21世紀に入ってから、ようやく認識されるようになりました。

 日本の古典作品、日本の風習、風俗の歴史を紐解けば、多くのLGBTに生きる人々の歴史があります。しかし、それは決して「表(おもて)」の歴史ではありませんでした。

 この作品は、男女の性を越えて、人として恋愛の感情を抱くことの美しさ、そこに芸術的表現が宿ることを証明しようとしています。

 「菖蒲冠」は、隠された芸術ではなく、誰もが共感する愛情の美を伝える幽玄(現世を越えた世界)の能の作品です。

 

●作品について

 桜井真樹子による原作・台本・作曲の新作書き下し。能楽師以外のアーティストとミュージシャンによる「ハイパー(超越した)能」の形式で創作された。

 桜井真樹子の演ずるシテ(主役)は、幽玄(現世を越えた世界)から訪れる斎王の役。喜多流の能をリチャード・エマートに師事する吉松章は、斎宮で勤める官司(役人)の一つ花苑司(はなぞののつかさ)でワキ(ワキ役)を演じる。

 能の囃子方は小鼓、太鼓、笛ですが、この作品の囃子方は、ペルシャの弦楽器奏者、北川修一。ペルシャの古くから王朝を開き、多くの物語をつむぎ、歌にして語ってきました。そして石崎元弥の感性から即興されるポリゴノーラ。ポリゴノーラはスイカの熟成度を共鳴度から測定する方法論を楽器に置き換えて作られました。人間の歌う旋律に合わせるというよりも、人間の声の響きと合わせてゆく響きでしょう。また時代を経るごとに音楽は室内へと向かってゆきましたが、ポリゴノーラは樹々や菖蒲の空間に響きわたりそして溶け込んでゆくさまをお聴きください。

 地謡メンバーは、櫻井元希、佐藤拓、柳嶋耕太。中世ヨーロッパの合唱曲を専門としている彼らは今回、能のコーラス「地謡」に挑戦する。さらにヨーロッパの合唱の起源であるオルガヌム風新作、15世紀のモテット風新作も担当。最後に桜井真樹子の声明と新作のモテット(ポリフォニー(対位法)による宗教曲のスタイル)を合唱によって日本・ヨーロッパの「中世の祈り」の世界を舞台に繰り広げる。

■原作・脚本・主演:桜井真樹子

●キャスト /スタッフ

少年・斎王:桜井真樹子

少年・花苑司:吉松章

地謡:櫻井元希、佐藤拓、柳嶋耕太

セタール:北川修一

ポリゴノーラ:石崎元弥

制作:マリプラ

音響:イノックスサウンドデザイン(6/4)

撮影:白岩義行(6/3)、西浩二(6/4)

デザイン:Diminish Design Partners

■菖蒲冠(あやめこうふり)2023 公演概要

※天候の影響で2日間開催いたしました。

●日時6月3日(土)15:00開場15:30開演

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■日時6月4日(日)15:00開場15:30開演

●会場:生田緑地(菖蒲園)

●場所:神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1-4

●アクセス:小田急線「向ヶ丘遊園駅」下車、南口から徒歩約13分

●料金:4,000円(予約制)

​※会員優先予約4/22~、一般発売/チケットぴあ4/29~

●ご予約・お問合せ:まきこの会事務局(makikoclub2022@gmail.com / 090-9236-0836)

●チケットぴあ:Pコード519302

●ご予約:お申込みフォーム https://www.sakurai-makiko.com/blank-6/ayamekohuri2023

▪️協力:生田緑地共同事業体

​▪️協賛:株式会社スカイリー・ネットワークス

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●あらすじ
現世で出会った少年たちの前世の姿は斎王と官司。初めてかわすことばが菖蒲の園で語られる。

前  幕

 水田にも畑作にもならない土地を主人は、菖蒲を植えて、五月下旬になれば、菖蒲咲く池をと、人々の憩いの場所にした。そこで働く一人の童子(男の子)が、様々な種類の菖蒲を育て、世話をしている。

 そこに今年、初冠(ういかんむり;元服をして成人になると、冠をつける。その元服の儀式の時に初めて冠を着ける儀式のことをいう)の少年が、この冠を菖蒲の花で飾りたいと、童子に語りかける。

 童子は主人から、五種類の菖蒲を採ってもよいと許しを取り、二人で菖蒲を選び出す。

最初は「君のような菖蒲だね」とお互いの美しさを喩える菖蒲を選ぶ。そして二人の気持ちが合わさった菖蒲を選ぶ。最後に童子は、美しい王女であった王昭君の名を持つ菖蒲を、初冠の子にふさわしいと選ぶ。

 その五つの菖蒲を冠にさして、池に映った初冠の子の姿は、まさしく王女、さらに神に仕える斎王(いつきのみこ=さいおう)の姿だった。

 初冠の子は、その姿を見て「私は王女です」と言う。

後  幕

 童子の前世は、斎宮(さいくう:斎王の住んでいる宮殿、と言っても斎宮は菖蒲の生える湿地帯であり、誰も住もうとしない土地に伊勢の斎宮は建てられている)の庭の手入れを任される花苑司(はなぞののつかさ)だった。斎王の姿を見ることなど、ありもしない。しかし、斎王の心を慰めるため、多くの花を庭に植え、五月には菖蒲の池を精魂込めて作っていた。

 そこに初冠の子の前世、斎王が現れる。

 来世で童子と初冠の子は、初めて出会い、夢の中で前世としての花苑司と斎王は初めて出会う。

 斎王は、花苑司に、彼の育てた菖蒲に心を慰められたことに礼を言う。

 しかし、斎王は天皇である父が亡くなったと同時に、祓川に映る月影を追って亡くなった(入水自殺をした)。

 「なぜそのような悲しいことをしたのですか?」と言う花苑司の重ねて尋ねる心に、斎王は遂に、「自分は男であるが、父は、私が女の子のように振る舞う姿を見て、斎王として、人里離れ、独り身を続け、生きていく慈悲を私に与えた。」と、前世で誰にも言わずに死んでいったことを、告白する。すると、天夜は光に満ち、そこに仏が金色に輝いて現れた。

 真実を告げる人こそが、仏を感涙させる。それは仏に目覚めた者(正覚者:悟りを開いた者)である。

 現世(生きているものたちの世界)を取り巻く妄念を放たれよ。万物一体の真理は、平等の障碍(しょうがい:悟りの邪魔となるもの)なき正念より起こるべしと。

 阿弥陀経にも池に咲く蓮は、青、黄、赤、白とそれぞれの色に咲く、そこに優越はない。
まさに蓮の蕾が開く時(夜明け)と共に、二人の夢は消えてゆく。

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